モデルハウス見学に初めて足を運んでから実際の着工までに丸2年かかりました。
当てにしていた土地が使えないだの、建築基準法がどうだの、条例がどうだの、新築だリフォームだと紆余曲折がありましたが、まずつまづいたのは「土地が使えない」でした。
居住地は山の中ではないものの、ド田舎です。
私(妻側)の実家近くに祖父(故人・相続済)の土地がありまして、父が趣味小屋(とは言っても基礎から打った居室ありの立派な物置き)を建てておりました。いずれ娘が家を建てるであろう際、その小屋に増築すればゼロから作るより負担が軽くなるやんという心積もりであったらしいのですが(私は正直余計な世話だと思っていた)、その地が数年前に「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」に指定されました。国土交通省からのお達しで、都道府県の調査の上に決定されるそうです。
【・警戒区域は,土砂災害が発生した場合,住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で,警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域です。過去の土砂災害による土砂の到達範囲などを勘案して設定されます。
・特別警戒区域は,警戒区域のうち土砂災害が発生した場合,建築物に損壊が生じ住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で,一定の開発行為の制限や居室を有する建築物の構造が規制される土地の区域です。】
…だそうです。
指定されると新築はおろか既存の建物への増築も出来ないと。
確かにその土地には裏山があるのです。高さ8メートル位の。尾根の幅4メートル位の。100年以上人の足で踏み固められてきた(モグラは出る)小山が。
素人目には崩れるようには見えないのですけど、まあ実際に大きな災害は頻繁に起こっているし…お国もナーバスになっているからこんなに細かいところまでやっちまったんだなと。
でも納得いかねえ
という訳で土木事務所に突撃したり土砂災害防止法や建築基準法を漁ったり国交省のサイトの見づらさにげんなりしながら調べて分かったことは
レッドゾーンに家を建てることは現実的ではない、ということでした。
裏山の斜面(居宅側)に土留めを施す・斜面と居宅の間に擁壁を建てる・建築物の基礎部を必要程度補強する、斜面側の壁を鉄筋コンクリートで施工する(窓は設置しない)などの対策はあるのですが、まあコストが掛かる掛かる。土地代タダのアドバンテージなど吹っ飛ぶ…!
レッドゾーンを避けさえすれば建築できるのです。すると…120坪ある土地の半分が使えなくなります。縦23メートル、横17メートルの土地の真ん中より手前(道路側)に建てざるを得ない。家の裏手なので駐車場にも出来ない。まあ…裏手には親父の小屋が残るのですが。
私たち夫婦は平屋を希望していました。しかしこの地には建たんのです。土地自体は広いのに家を建てるには足りないのです。なにそのイリュージョン。
相談を依頼したビルダーさんに2階建てのプランを作ってもらいました。その会社のコンセプト通り、すっきりと整った無駄のない、暮らしやすそうな家のプランです。
でも、でもね、やっぱり平屋がいいよね。他の土地を探せばいいよね。時間が掛かっても構わないよね。娘夫婦が実家近くに住むという親父の目論見は敢え無く沈下するのですが、私たちはこの土地を諦めたのでした。
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